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2004年 胸部外科医処遇アンケート調査


■胸部外科医処遇改善委員会報告

胸部外科医処遇改善委員会委員長 許 俊鋭

 平成14年から3年に亘り「胸部外科医の処遇調査」を実施してきた。本年度は、@労働基準法から見た「胸部外科医の労働実態」と、A専門医制度の実施に伴う専門医研修プログラムの整備状況について、(a)専門医認定修練施設長と(b)日本胸部外科学会全会員に対してアンケート調査した。専門医認定修練施設約700施設に対してはアンケート調査用紙の送付および電子メールにより、学会員に対しては電子メールのみによってアンケート調査を実施した。専門医認定修練施設では半数以上の393施設(55.4%)から回答が寄せられたが、学会員からの回答は508名(6.1%)に留まった。回答については(a)(b)ともにほぼ同様の回答結果であったが、学会員に対する調査方法については、回答数を増やすべく今後更に検討が必要であろう。

1 労働基準法から見た「胸部外科医の労働実態」について
 平成16年5月17日の読売新聞は「厚生労働省労働基準局が救急医や小児科医の当直勤務実態に対して労働基準法違反の疑いがあり、全国一斉立ち入り検査に乗り出す」と報道し、労働基準局は全国約6000の救急病院に対して医師の勤務実態の自主点検を求め、問題のある場合は当直許可を取り消して、交代制の導入など抜本的な当直勤務体制の見直しを求めるとした。また、平成16年度にスタートした研修医制度の中でも研修医の勤務について労働基準法の遵守が強く謳われている。

 今回のアンケート調査では、施設内に医師の労働基準法遵守のためのルールが無い、施設内に医師の労働実態の調査機能が無い、あるいは医師の過重労働について訴える部署が整備されていない施設は60%にのぼり、医師の労働問題に取り組むシステムが整備されている施設は40%に過ぎなかった。特に当直を含む医師の連続拘束勤務に関しては、65%の施設は労働基準法の規定とはかけ離れた重労働となっていると報告し、70%の施設は当直明けの医師の勤務に一切軽減は無いと報告した。今後、医療安全の面からも特に「当直あけの医師の勤務の軽減」については、学会として極めて積極的に取り組むべき課題であろう。

2 専門医制度の実施に伴う専門医研修プログラムについて
 専門医研修プログラムについては94%の施設が「作成は必要」と回答したが、文書化されたプログラムが整備されている施設は34%であった。しかも、研修プログラムがほぼ完全に機能していると回答した施設はプログラムが整備されている施設の23%に過ぎず、90%以上の専門医認定修練施設では研修プログラムは整備されていないか、あっても殆んど機能していないことになる。90%の修練施設は「学会が研修プログラムのガイドラインを作るべきだ」と回答し、92%の施設が「学会が研修プログラムのガイドラインを作ったら準拠するべきだ」と回答した。日本胸部外科学会としては、胸部外科関連専門医に対する「研修プログラムのガイドライン」を早急に作成し、各専門医認定修練施設の研修プログラム作成と実行を促進すべきであろう。


本アンケートは、日本胸部外科学会 胸部外科医処遇改善委員会の委員の協力により作成した。
日本胸部外科学会 胸部外科医処遇改善委員会委員長
許 俊鋭 埼玉医科大学 心臓血管外科

日本胸部外科学会 胸部外科医処遇改善委員会委員
乾 健二 横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター 呼吸器外科
角 秀秋 福岡市立こども病院・感染症センター 心臓血管外科
島本光臣 静岡市立静岡病院 心臓血管外科
鶴丸昌彦 順天堂大学医学部 消化器外科講座上部消化管外科学
西田 博 東京女子医科大学心臓病センター 心臓血管外科
中島 淳 東京大学医学部附属病院 呼吸器外科
八木原俊克 国立循環器病センター 心臓血管外科
吉村博邦 北里大学病院 胸部外科


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